●● Take Control シリーズ日本語版 新刊案内●● 新刊● Panther でのユーザとアカウント Kirk McElhearn 著 好評既刊● Panther のカスタマイズ Matt Neuburg 著 好評既刊● Panther へのアップグレード Joe Kissell 著 ---------------------------------------------------------------------- TidBITS#755/15-Nov-04 ===================== デジタル写真について TidBITS にいくつかの記事を書いてくれた Charles Maurer が、その締めくくりとしてカメラの購入にまつわる彼の体験談を語 り、皆さんにも機種決定の参考にして頂ければと望んでいる。また今週号で は、Consumer Reports 誌に Mac を誉めたたえる記事が載っている(ただし もちろん、注意して読むことが必要)のを Adam が報告し、Guy Kawasaki からの無料のオンライン・プレゼンテーションについて、Audion の無料化 について、それから Firefox 1.0 のリリースについてもお伝えする。それ からもう一つ... iPod ソックスだって? これは本当の話だ! 記事: MailBITS/15-Nov-04 Consumer Reports 誌のファンファーレもあと一歩 デジタルカメラ購入の手引き TidBITS Talk/15-Nov-04 のホットな話題 (日本語) Copyright 2004 TidBITS: Reuse governed by Creative Commons license Contact: --------------------------------------------------------------- 本号の TidBITS のスポンサーは: * 読者のみなさん! あなたのカンパで TidBITS を応援してみませんか? <-- NEW! 今週は Judy Jack 氏、William Lisowski 氏、そして Judy と Don の Lacer 夫妻の暖かい支援に感謝! * SMALL DOG ELECTRONICS: Xserves! Xserve G4/1.33 GHz DP with extra drives - $2,199 and $2,499, Single Processor Xserve - $1,499 Visit: 800-511-MACS * FETCH SOFTWORKS: Is maintaining your Web site tedious? Use <------- NEW! Fetch, the original Macintosh FTP client, and you can record AppleScripts that automate repetitive uploads and downloads. Get Fetch now at ! * Dr. Bott, LLC: With PocketDock Combo, you can leave your docking <- NEW! cable at home where it belongs. PocketDock connects your iPod to any Mac or PC using standard FireWire or USB cables. Three versions available. * Web Crossing: Did you know Web Crossing does Blogs?!? Used for workgroup reports, entertainment, advice columns, politics, or whatever, Web Crossing's Blogs can integrate w/discussions, access lists, etc. Try it! * iPod Armor takes the abuse, so your iPod doesn't have to! <-------- NEW! Rugged aluminum construction keeps iPod safe from scratches and other random daily hazards. Your iPod is always safe in iPod Armor. * MindFortress: Need a secure digital wallet to store passwords, <--- NEW! serial numbers, credit card info? Notes? Pictures? Movies? Custom templates to make your own cards to fit your needs? Get MindFortress! Free trial at * StuffIt Deluxe 9 from Allume Systems improves on the Mac's essential compression utility! Now featuring faster performance and improved Finder integration and data management options. Upgrade for only $29.99! * Bare Bones Software BBEdit 8.0 -- More than 100 new features and improvements including Text Factories, Codeless Language Modules, a Documents Drawer, and much more! To download a demo or to purchase a copy, visit . * easyDNS: Need a .CA domain? Get it from Canada's leading Domain <-- NEW! company. All with easyDNS's world class personal tech support. Finally, a company that actually puts its customers first! easyDNS: the way things should work. * AUDIO HIJACK PRO: Gain total audio control with Audio Hijack Pro <- NEW! Now you can record and enhance ANY audio, from Internet streams (Real, WMP, and more) to DVD audio. Even import vinyl records and tapes! Download it now! * 一眼レフカメラの可能性を最大限に引き出し、表現者の意図に的確に応え<- NEW! る事ができるよう、その成果を1本1本のレンズに結実させています。シグマは、 デジタル一眼レフカメラにも最適なレンズも数多くラインアップする等、レンズ バリエーションを豊富に用意しています。 --------------------------------------------------------------- MailBITS/15-Nov-04 ------------------ **Firefox 1.0 リリース** -- Mozilla Organization がついにオープンソー スのウェブ・ブラウザ Firefox のバージョン 1.0 をリリースした。この ニュースは、Internet Explorer より安全なソフトを探していたwindows ユー ザーにとってのほうがエキサイティングかもしれない。しかし、Mac ユーザー も Mac OS X 版が Safari と同じくらい軽快で、様々な機能が盛り込まれてい ることは嬉しいはずだ。例えば、新機能のライブブックマークで RSS feed を 読んだり現在の記事のリストが表示されるようになった(ウェブログのエント リーやニュース・アップデートのようにだ)。検索バーでは Google だけでな く他の検索エンジンも含まれるようになった。そして、 Firefox はサード パーティーのツールバー(Amazon の A9 search toolbarのようなもの)をイ ンストールできるようにもなった。Firefox 1.0 は 8.6 MB の無償ダウンロー ドで、Mac OS X 10.1 以上で利用できる。 [JLC](笠原) [訳者注:11月17日時点でAmazon A9 toolbar の日本語版は公開されていませ ん] (日本語) "Firefox - Web の再発見" **Audion が金時計を獲得** -- ほろ苦い変化が起こり、至るところでスキ ン・スイッチ好きな音楽愛好家の目に涙が溢れることだろう。Panic Inc. が 長寿命だったデジタル・オーディオ・ジュークボックスプログラムの Audion を引退させることを決めたのだ。Panic はそのソフトを彼らのサーバーからた だ取り除くのではなく、Audion を_無料_で利用できるようにした、その上、 これまでの応援に感謝してディスカウント・クーポンを購入者に送った。 (日本語) "MacMP3 Official Site" Macintosh の MP3 プレーヤーの黎明期に、Audion は SoundJam (Casady & Greene によって公開され、最後には Apple の iTunes になった)とつばぜり 合いを演じたものだった。Audion は"スキン" - 本質的には、アプリケーショ ンの外見とインターフェースを変化させるモジュール - を、階層プレイリス ト、ユーザー・レーティング、再生カウンター、音楽編集といったパワーユー ザー向け機能とともに組み込むことで特徴を出した。しかしながら、やがて、 Audion は、Apple の増え続けるデジタル音楽製品の攻勢や Audion が iPod の曲を管理できるにもかかわらず iTunes Music Store の DRM protection を 扱えなかったり、 AirPort Express (日本では AirMac Express)のような Apple 製品のサポートをできなかったりするため、ニッチ市場を切り拓くこと が不可能になった。それでも、Audion は成熟した便利なジュークボックス だ。それは、iTunes では決して使うことができないであろう機能を搭載して いる。そして、-無料!-これは大変なことだ。Panic の消費者の立場に立った 振る舞いと製品の無料化に賞賛を送ろう;Panic は他に Usenet と FTP クラ イアントの Unison と Transmit 、その他 Mac ユーティリティー集を提供し ている。Audion 3.0.2 は Mac OS の 8.6 以上のバージョンと Mac OS X の全 バージョンで使用できる。Panic の共同設立者 Cabel Sasser が Audion の進 化をユーモラスに暴露的に書いた文章を公開している。クリスマスイブに Steve Jobs から電子メールを受け取るということがどういうものなのか興味 のある方には一読の価値がある。[GD](笠原) (日本の写真) **Guy Kawasaki のオンライン講演を聴こう** -- 元 Macintosh エバンジェリ ストの Guy Kawasaki が、The Art of the Start という新しい本を出した。 新しい企業やプロジェクト、その他なんでもをスタートさせることについて書 いた本だ。ほとんどが、起業ベンチャー・キャピタル会社の Garage Technology Ventures を指揮したここ数年の経験に基づいている。私は未だ読 み終わってはいないが、読み終わった部分は実用的で鋭く、アイデアが火花を 散らしていた。私は、近いうちに読み終わってレビューもできることを楽しみ にしている。 ところで、Guy が無料で聴ける 1 時間のオンライン講演を 2 回行っている。 これは、Raindance の技術を使って行われる。一回目は 2004年10月21日に行 われた。次回は2004年11月18日の太平洋時間午前10時に行われる。彼の声を聞 きながらプレゼンテーションのスライドを見ることができる。サインアップは 少し面倒だが、難しいほどではない。Safari や Mac では動かないかもしれな いという注意書きが出るが、私が一回目の講演を視聴したときには問題はな かった。Guy はいつもどおりの調子で、講演を楽しく示唆に富むものにしてく れたが、後になって、彼は私に聴衆のいない、反応のないところでのプレゼン テーションに戸惑ったと語ったものだったが。 [ACE](笠原) **ソックスでクリスマス!** -- これはきっと世代的なものかもしれないが、私 の感じでは、ホリデーギフトに下着類をもらうなんて、何と言うか... ちょっ と低く見られたような気がするものだ。でも、そこで Apple が登場してそん な弱気を吹き飛ばしてくれる! この 12 月初旬から(予約注文は既に始まっ ている!)iPod を熱愛する人たちのために、iPod Socks の 6 足セットが、 $30 で売り出されるのだ! 最近の iPod Photo のお目見えの際に初めて登場 したものだが、このニットのソックスはオレンジ、ピンク、ブルー、グレー、 パープル、グリーンの 6 色でセットになっていて、全てのサイズの iPod に フィットする。Apple によれば、「iPod をソックスに滑り込ませるだけで安 全に(そして暖かく!)iPodをご利用いただけます。Dock に接続する時や、プ レイリストを変更する時はソックスから取り出してください。」とのことだ。 ボイスレコーダのような iPod 付属品が付いた状態で使えるかどうかはまだ発 表されていない。 (日本語) "The Apple Store (Japan) で "ソックス" を検索" でも疑問はまだまだ残る。コットン製だろうか? ウール製かな? ひょっとし たら混紡かも - そうだ! スパンデックス入りで伸縮自在? 同色の衣類と洗 濯すべきか? iPod ソックスは乾燥機に入れちゃダメ? 猫たちは夢中になっ て追いかける? それからそれから、iPod シューズなんかは、いつになったら 予約注文できるかな? [GD](永田) Consumer Reports 誌のファンファーレもあと一歩 --------------------------------------------- 文: Adam C. Engst 訳: Mark Nagata Consumer Reports は有名な雑誌で、広範囲にわたる消費者向け製品について のレビューや比較記事、推薦記事などを専門にしている。この雑誌が、遂に Macintosh について好意的なことを書いてくれる日が来た。2004 年 12 月号 の表紙には「Mac を再検討するための 59,940 の理由」とまで印刷されている。 (その記事の中で、Symantec 社の言葉として PC のウイルスが 60,000 個あ るのに Mac のウイルスはたった 60 個だと書かれている。これが 59,940 と いう数字の意味だ。ただし、私はその 60 個のうちの多くは Mac OS X では全 く動作しないに違いないと思うが。)事実上ウイルスの問題が無いこと以外に、 Consumer Reports は現在 Windows ベースの PC を悩ませているスパイウェア の蔓延が Mac には影響が無いという正しい指摘もしている。さらに、この雑 誌は Apple が信頼性やサポートの満足度について業界トップのランク付けを されていることについても賞賛している。確かに、サポートの満足度は Apple が過去3年間かけて上昇させてきたところで、一方 PC 各社に対するそのラン ク付けは下降してきている。(残念ながら、記事全文を読めるのは Consumer Reports の購読者だけだ。) なかなかいい記事だ、そうお思いでしょう? 確かに、今回の記事は過去数年 間の状況を考えれば進歩に違いない。以前の Consumer Reports は、Mac につ いて訳の分からないことを述べたり、まともでないやり方で Mac を PC と比 べたりして、Mac ユーザーたちの間で芳ばしくない評判を得てきた。最近では、 この雑誌はたいていの場合 Mac と PC を別々に議論するようになってきてい たので、昔よりはましになったが、それでもこの雑誌のコンピュータ関係の記 事を読む度に、私のまゆ毛はたびたび上下するのだった。その底流となる問題 はずっと以前からただ一つ、Consumer Reports が主に価格を中心として物事 を判断し、信頼性とか使い心地とかが二の次にされてきたからだ。そのこと自 体は今も変わっていないし、今回の記事の冒頭で肯定的なことを述べておきな がら、その記事の後半では以前と同じ無知のレベルに戻ってしまっている。 価格の点で言えば、Mac はほとんど常に PC よりも高価だ。その大きな原因は Mac では標準だけれども PC では追加となる装備にある。けれども初めは賞賛 で始まるこの記事の後の方で、Consumer Reports は(データもなしに)Mac は機能相応の Windows PC よりもコストがかかると述べている。その Ratings 表を見れば、iMac G5 は $1,674 で、同レベル PC のうち一つの例外($1,850 の Sony)だけを除いて他のどれよりも高価なことになる。でも、もちろん、 ここにリストされた iMac の価格には高品質の 17 インチモニタが含まれてい るのに、PC たちの価格はどれもそういうものは含まれていない。どこが「機 能相応」なのだろうか。(LinuxInsider 誌には、相応する構成の Dell 製の PC よりも Mac の方が実際に価格が安いという記事が載った。) もっと問題なのは、サポートとメンテナンスを続けるための費用は Mac の方 が安いということが、どこにも全く触れられていないことだ。記事の最初で Mac にはウイルスやスパイウェアの問題がないということを大きく打ち上げて おきながら、そういう利点そのものが、ソフトウェアの購入や、コンサルタン トに支払う費用、生産性の喪失などのコストを抑えることに直接結び付いてい るという説明がどこにもないのだ。 Consumer Reports は Apple の信頼性とサポートについても賞賛しているが、 ここでもそのことと価格との関連については一言も触れていない。Apple の信 頼性のおおもとはより高品質のパーツと職人芸によるもので、価格が高めなの もそこから来ているのでははないのか? ユーザーの側からすれば、信頼でき ないハードウェアに対処するためには費用がかかるのではないか? それに、 より良いサポートを提供するためにはそれに伴うコストがかかると思わないの だろうか? さまざまの製品の使用時コストと全通算コストを計算することにかけては普段 から定評のあるこの雑誌が、ことコンピュータの実社会における現実のコスト に関してはこんなに大きな見落としをしているというのは、恥ずべきことだと 思う。この“アンチ Mac”の目くらましは、この記事が Mac の購入に際して コストに追加されてくるさまざまの要因、例えば新しいソフトウェアの購入や、 データを移行させたり変換したりするためにかかる時間などを正しく特定して 加算していることによって、ますます厄介なものとなる。 もう一つ、奇妙なことがある。Consumer Reports はオペレーションシステム の使いやすさについても完全に無視しているという事実だ。例えば洗濯機の複 雑なインターフェイスについては遠慮なく苦情を並べ立てるのに、Mac OS X が Windows XP に比べて比較的使いやすいということについては何も言わない のだ。皮肉なことに、Consumer Reports がコンピュータの工業デザインに対 してコメントすることは稀だというのに、iMac G5 が iMac G4 に比べてスク リーンの調節可能性については劣るとか、iMac の背面がごちゃごちゃしたケー ブルで醜くなるのを避けるために必要な Apple の Bluetooth ベースのワイヤ レスキーボードやマウスを購入するのに余分の費用がかかるとか、そういうこ とはわざわざ書いてある。もちろん、多くの PC におけるお粗末な工業デザイ ンとか、そういうデザインとコストとの関係などは、どこにも一言も書いては いない。 この記事の最後に書いてある Mac への批判は、誇張されてはいるものの、正 しい。Mac ユーザーがソフトウェアの選択肢が少ないという点で不利なことに は疑問の余地が無い。特に娯楽系や教育系のソフトウェアについてははっきり とそのことが言える。当然ながら、本当にすべき質問は特定の目的に対する適 切なソフトウェアが欠けているのかいないのかということだ。確かに Mac に は手薄なところがあるが、それでもたいていの人々にとっては、それは問題に ならないことだと私は思う。もしもあなた自身の目的に適したソフトウェアが 見つけられるのならば、それ以外に大量の他のパッケージが買えるかどうかな どということは、あなたには無関係のはずだから。 最後に一言。Mac にはウイルスやスパイウェアの問題がないということが消費 者向け製品を扱う雑誌に大々的に取り上げられるのを見るのは確かに嬉しいこ とだし、信頼性やサポートの面で Apple がトップランキングの評価を受ける ことも嬉しい。けれども、Mac と PC がどうして現状のような値札の差を持っ ているのか、その値札の差が必ずしも消費者のトータルなコストの差に結び付 いてはいないのはどうしてなのか、そのようなことをきちんと論理づけて関連 づけることが Consumer Reports 誌には依然として出来ていないことに、私は 大きな不満を感じざるを得ない。 デジタルカメラ購入の手引き -------------------------- 文: Charles Maurer 訳: Mark Nagata 訳: 羽鳥公士郎 訳: 亀岡孝仁 前回の記事“デジタル写真の道理とセンサー”で、私は画像センサーに関する 迷信のいくつかを一刀両断にして、この種の話題にいくらかの道理を持ち込も うと試みた。今日は、カメラの購入を検討する際に私ならばどこに注目するか、 という話題について話をさせて頂きたい。抽象的な議論に陥るのを避けるため に、今回は私の一番新しいカメラ、Sigma SD-10 を今年の前半に購入した際に 私が検討した事柄を、詳しく述べてみたいと思う。もちろん皆さんはそれぞれ に私とは違う使用目的をお持ちだろうけれど、このようにしてお話をさせて頂 くことで、どんな機能が重要で、どんな付属品は無視してもよいかといったこ との感触を、皆さんにも感じて頂けるのではないかと思う。また、この記事に は SD-10 の詳細なレビューという意味合いも含めさせて頂きたい。 (日本語) "デジタル写真の道理とセンサー" (日本語) "SIGMA SD10" **予備的な質問をする** -- 購入の前に自分自身に問うべき最初の質問は、その カメラを何のために使いたいのかということだ。ここではできるだけ具体的な 目的をはっきりさせておくべきだ。目的が具体的であればある程、機種選択の 判断が容易になる。私の使用目的は以下の3つだった。(1) 友人たちの肖像写 真を撮って、いくつかは額縁に入れて飾り、いくつかは公表用の写真に使う。 (2) 私が執筆中の本に載せる写真を撮る。(3) ヒマラヤへ1ヵ月の徒歩旅行を するのでそこで写真を撮る。公表用の肖像写真と本に載せる写真とは商用レベ ルの品質の写真である必要があり、さらに本に載せる写真には最高度の柔軟性 が必要だった。ヒマラヤでの写真については、ポスターサイズに拡大して壁に 掛けられるだけの写真の明瞭度と詳細の良さが必要だった。私はまだ例のプロ 用の機材、2-1/4 インチ×3-1/4 インチのレンジファインダーカメラを持ち続 けており、こちらはビューカメラの持ち得るあらゆる柔軟性を兼ね備えていた。 私としては、コントロール可能性においても品質においても、それより劣るよ うなデジタルカメラは買う気がしなかった。 一旦カメラの使用目的が明らかになれば、次はどの程度のレベルの画像センサー が必要になるのかを決めることになる。これは前回の記事のテーマだったので、 ここで議論を繰り返すことはしない。まだ読んでいらっしゃらない方は、ぜひ 今の機会に一読してみて頂きたい。私にとってはその答は明らかだった。私は、 Bayer センサーならば最高のものを、Foveon ならば大きめのものを、必要と していたのだった。 さて、センサーと使用目的とが決まったら、次はカメラそのもののレベルを決 める番だ。私は、デジタルカメラを3つのカテゴリーに分類している。(1) シ ンプルなスナップ写真用、(2) フル機能だがコンパクトで、レンズがボディー に固定式で交換レンズが使えないもの、それに (3) フル機能でレンズが交換 できるもの、の3つだ。私は第1の種類のものは持っており、使用の便を考え て第2の種類のものを買い足そうと思っていたのだが、私の好みに合う融通性 と品質とを考慮すれば、第3の種類のものを買うしかなかった。Digital Photography Review のデータベースをチェックしてみたところ、私の条件に 合うものはレンズ2個が付属で $1,500 する Sigma SD-10 と、本体ボディー だけ(つまりレンズは別途購入しなければならない)で $5,000 や $8,000 も するような Kodak や Canon の機種しかないことが分かった。$5,000 を超え るような価格のものを買う気はなかった(何しろこの分野のテクノロジーはあ まりにも急激に変化しているし、この種の電子機器はたいてい数年もすれば修 理することさえ現実的でなくなってしまう)ので、私にはこの SD-10 を買う かそれとも従来持っていたもので我慢するか、そのどちらかしか道がなかった。 大きく引き伸ばした写真でも例の 2-1/4 インチ×3-1/4 インチカメラにひけ を取らないだけのものにしたい、と私は思っていたので、真っ先に SD-10 が それだけのものを提供できるかどうかを確認してみた。Sigma のウェブサイト から生の画像(これはどうやら三脚を使って撮影したもので、センサーについ てもレンズについても、厳しいテストとなるようなものだった)をダウンロー ドして、それを PhotoZoom Pro(前回の記事参照)を使って 30 インチ×44 インチに拡大し、それをプリントアウトしてみた。色ずれやその他の問題点は たくさん見られたが、どれもソフトウェアで修正可能な程度のものだった。そ れ以外の画像処理は何も施さない段階でさえ、全体的な見栄えは驚くほど良かっ た。そこで、このカメラを自分で実地に検討してみることにした。 **どんなカメラにも必要な3つの条件** -- 私は、どんなレベルのカメラにも、 3つの絶対的必要条件を課している。第1に、すべてのメニューが英語で記さ れていなければならない。漢字など、私には覚えられない。私が写真を撮って いる時には、カメラの画面に表示された象形文字が何を意味しているのかと説 明書を探したりしている暇はない。英語のメニューでないのなら、無い方がま しだ。すべてのメニューが英語でないのなら、それがどんなに優れたカメラで も、どれほど安く買えても、どんな理由があろうとも、私は絶対にそのカメラ を買う気にはなれない。SD-10 には英語のメニューがあるので、私は次の条件 に進めた。 第2に、カメラを使う時に、ファインダーを覗いて見ながら撮影できるもので なければ私は嫌だ。眼鏡をかけたままの状態で、フレーム全体を明瞭かつシャー プに見ることができる必要がある。単純レンズの眼鏡でさえもこれができない カメラがたくさんあるというのに、私は三焦点レンズに相当する累進レンズの 眼鏡をかけているのだ。SD-10 の接眼部分は調節可能なので、私が見たい眼鏡 の部分を通した時にシャープに見えるように調整できる。また、ファインダー を覗いた時にフレーム以外の部分もたくさん見えるので、フレーム全体がちゃ んと見渡せる。このフレーム外のスペースは、写真の構図を考えるために便利 であるばかりでなく、私があの大きなレンジファインダーカメラを気に入って いた大きな理由の一つでもあった。つまり、ファインダーの一番下、余分のス ペースの下にあるデジタル表示が、眼鏡のせいで読みづらくなってしまうとい う難点をある程度埋め合わせてくれるのだ。 第3の必要条件は、カメラの焦点合わせが信頼できるということだ。他のほと んどすべての要素に比べても比較にならない程、大きな影響を結果のシャープ ネスに及ぼすのが、カメラの焦点合わせシステムの性能なのだ。良質の距離測 定カメラでは、焦点合わせは易しい。線がぴたりと合わさる所を選べばよいだ けだからだ。けれどもこちらはただ画面の詳細度だけに頼って焦点を合わせな ければならない。実際にレンズを調整するカムの形による誤差程度は、画面表 示では隠れてしまうこともある。一眼レフのカメラ (SLR) には隠れたメカニ ズムなどは無い。あなたに見えるものが、そのまま写真となる。けれども、人 間の目というものはカメラの焦点合わせのために作られている訳ではない。焦 点の合った一番シャープな点を目だけで見極められる人はいない。私たちにで きるのは、その点の前後でレンズを行き来させて、焦点がずれて見える両側の 端を探し、それらのちょうど中間地点を選ぶことだけだ。大きくて明るい、光 学的な焦点合わせシステムを今でも採用しているカメラはほとんど残っていな い。なぜなら、電子的な焦点合わせシステムの方が製造コストも安く、売れ行 きも良いからだ。でも、ほとんどの電子機器は人間の目よりも粗い識別力しか 持っておらず、それ以外の弱点、例えばモーターには即時停止ができないこと、 などの弱点もある。それに何よりも、どんな自動焦点合わせシステムであって もあなたが今何に焦点を合わせようとしているのかを察知することはできない。 自動システムにできることは、フレームの中央部分に写っているものに焦点を 合わせることだけだ。 SD-10 に、購入時に付いていた安いレンズで焦点合わせをさせようとしてみた 時、私は思わずこのカメラは買わないと決心するところだった。ファインダー に写る画像は小さくて暗く、手動で焦点を合わせることさえ難しくて、自動の 焦点合わせを試みた時には、レンズを極端に近くして始めた時とレンズを極端 に遠くして始めた時とでレンズの落ち着く場所が一致しさえしなかった。けれ ども、その後しばらくカメラをいじっているうちに、焦点合わせの易しいもの にカメラを向けた時には、この自動焦点合わせの誤差は私の目で合わせた時の 誤差とほとんど同等であって、被写界深度を考えれば実用上充分なものだと思 うに至った。依然として私の気に入るレベルではなかったが、少なくとも使え るというレベルではあった。結局、よく焦点の合った写真が撮れるようになる ための最も重要な要素は、レンズに付いている自動焦点合わせのオン・オフス イッチであることが分かった。このスイッチをオンにして、シヤッターボタン を半分だけ押して焦点を対象物に合わせる。それからスイッチをオフに切り替 えてから、フレームを合わせて写真を撮るのだ。この操作を自分に習慣づける ことで、やっと私は焦点合わせの信頼性を得ることができた。また、私は可能 な限りズームレンズを拡大した状態で焦点合わせをするようにしている。当時 の私はまだこのシステムが信頼し切れていなかったのでファインダーの拡大器 (Nikon 製がぴったりはまった)まで購入したものだが、後日これは不必要と 分かった。それよりももっと重要なことは、口径の大きな(従って明るい)レ ンズを使うことだ。より良いレンズを使えば、自動でするには暗すぎる光源の 下でも充分易しく手動で焦点合わせができる。 **機能、付属品、仕掛けなど** -- これまで述べてきたのは、私にとっての絶対 的な必要条件ばかりだった。SD-10 がこれらを満たしていることが分かったの で、私はさらに詳しく調べてみることにした。 デジタルカメラの利点の一つは、撮った写真が使えるかどうかがその現場に居 ながらにして分かることだ。でもそれには、その写真が見られるならばという 限定条件が付く。背面の液晶ディスプレイ (LCD) は、明るい日光の下でも見 られる程に明るくなければならない。その一方で、夜間に使い物になるために はそれを充分に暗くすることも可能でなければならない。SD-10 の場合は輝度 を3段階に調整できるようになっているが、私はこれで充分な機能だと思う。 また、SD-10 には LCD を保護するための透明なプラスチックのカバーも付い ている。写真を撮るだけならばカバーを閉じたままでも使えるが、メニューを 使うためにカバーを開くこともできる。 デジタルカメラでは、完璧な露光をすれば太陽の光の反映は純粋な白として記 録されるが、微妙な色調、それも必要最小限の色調のみの情報を含んだ白も、 きちんと記録されてディテールとして現われるものだ。 LCD 上にヒストグラ ムが表示されれば、この情報が明瞭にあなたに伝わるだろう。SD-10 はこの点 うまく機能する。3つのカラーチャンネル(赤、緑、青)を重ね表示し、+ ボ タンを押して画像を拡大すればその拡大された部分だけがグラフ表示される。 このアプローチならばどんな露光計も敵ではない。私は狙いもせずにまず1枚 だけ素早く写真を撮り、その写真の最も明るい部分が正しく露光されているか どうかをチェックし、必要な調整をし直してから本番の撮影にかかるようにし ている。 カラースライドフィルムは、完全には白あるいは黒ではない、ハイライトとシャ ドウとの間の 7 段階の f-値の範囲に合わせてデザインされている。けれども、 日光に照らされた風景をこの範囲の内部に抑え込むには、ちょっとテクニック が必要だ。デジタルセンサーは、少なくともそれに見合うだけの「ダイナミッ クレンジ」を持っている必要があるし、それよりも広いレンジを持っているに 超したことはない。ずっと広ければ、ずっと素晴しい。絵画的な写真において は、解像度よりもむしろダイナミックレンジの方が重要なのが普通だ。被写体 がシャドウに埋もれて全く見えないのならば、その被写体のディテールがいく ら詳しくセンサーで解像されても、何の意味があるだろうか。このダイナミッ クレンジの大まかなテストならば、カメラショップの店頭でもできる。写真用 のグレイ・スケールを、組織的に低露出で撮影してみれば分かる。私のテスト の結果では、SD-10 のダイナミックレンジは素晴しいものだった。ハイライト 部分が正しく露光されれば、シャドウの部分は 10 から 11 段階も暗い場合で さえ、ある程度のディテールを保つことができた。以下にリンクした2つのス クリーンショットは Sigma の PhotoPro ソフトウェアの画面のものだが、こ れを見ればディテールの抽出がどれほど易しくて効果的かが分かる。この写真 は、ハイライト部分では完璧に露光されている。暗い方のバージョンは通常の ダイナミックレンジを示している。これが、カラースライドで表示されるもの とほぼ同じだ。明るい方のバージョンは、シャドウ部分にも追加のディテール が見てとれる。これだけのディテールがセンサーによって記録されており、 Tonal Adjustment スライダーによって呼び出されたのだ。 デジタルカメラではフィルム感度(いわゆる "ISO" 感度)の選択肢(速度、 という言い方をすることもあるが、意味を考えれば感度という言葉の方が正確 だ)が提供されているが、実際にはデジタルカメラにおいてまともに適用でき るような ISO 標準は無い。だから私は "ISO" と引用符を付けて述べたのだ。 二つのデジタルカメラに対して感度や露光測定をきちんと比較したものなど、 私は一度も見たことはないし、そんな比較が重要などと思ったこともない。な ぜなら、そういう比較をして差が出たとしてもわずかなものだろうし、そもそ も露出の差は一目で分かるものだからだ。けれども、私は SD-10 がどれほど 注意深く調整されているかに興味があったので、購入した後に "ISO" 100 の 状態でチェックしてみた。日光の下や通常の室内光の下では、このカメラの露 光メーターの数値は私のスタジオ用露光メーターとほぼ完璧に一致した。(誤 差は 1/3 f-値の範囲内だった。)キャリブレーション済みのグレイのスケー ルをさまざまの露出で撮影してみると、正確に露光された 95% の白はちょう どあるべき位置になり、白飛びの 2/3 から 1 段階下になった。(デジタルカ メラでは、"ISO" 感度を増やしてもセンサーの感度が上がる訳ではない。ただ 信号が増幅されるようになるだけで、同時にノイズも増幅されることになる。 "ISO" 100 がたいていのカメラで標準の設定で、1600 くらいまで上げられる のが普通だが、400 より上に設定しても結果はあまり良くなるものではない。) カメラによっては測光モードを切り替えられるものもある。あなたが撮りたい 写真に合わせて、最も正確になると思われるモードをスポット測光、分割測光、 平均測光のうちから選ぶ、という具合だ。私に言わせれば、こういう馬鹿げた ことは機能のための機能でしかなく、あまりにも多くの電子機器を使いにくく している元凶以外の何物でもないと思う。目の前の風景を最も正確に読み取れ る測光モードはどれかと思案する暇があるくらいなら、さっさとテスト写真を 撮ってからその結果を見て自動露光の設定を微妙に上下させて調整する方が、 ずっと早いし結果も正確になる。それに、自動の多段露出というのも同じくら い無用の機能だ。露光時に正しい露出を決められるのなら、わざわざ多段露出 する意味はほとんど無い。SD-10 には、これら2つの「機能」それぞれに専用 のプッシュボタンと、これらのための表示スペースが設けてある。 気にする必要もないことだと私が思うものがもう一つある。それは、カメラに よる色の再現についてだ。TidBITS-749_ の私の記事“色とコンピュータ”で 説明した通り、これはまるでアメーバに向かってその形状を褒めたり叱りつけ たりするようなものだからだ。レンズによる色の再現についてあれこれと思い 悩むのも、またそれに輪をかけて無意味なことだ。レンズが画像をセンサーの 上に投影する際に色合いを変えてしまうとしても、その作用は規則的かつわず かなものなので、生画像を使用可能な画像データに変換するソフトウェアがど んなものであっても、色合いへのそのような影響は自動的に修正されてしまう ものだ。 (日本語) "色とコンピュータ" カメラが揺れた時に、その揺れと反対の方向にセンサーを動かすことで補正す るカメラは可能であるし、実際非常に望ましい。SD-10 にはこの機能は無い。 Sigma からこれを実現する望遠レンズが出ているが、この機能はカメラに内蔵 されていてこそ、より価値のあるものだと思う。 動作速度が、多くのデジタルカメラの弱点の一つだ。スイッチが入るのに長い 時間がかかることもあるし、撮った写真を処理してメモリに書き込むまでに長 い間待たされることもある。どんなカメラを購入するにせよ、こうした速度が あなたの使用目的に適切かどうかを必ず確認しておく方が良い。SD-10 は、反 応こそ素早いものの、個々の写真の処理にはかなり時間がかかるので、時々私 も次に進むまでに一呼吸待たなければならないことがある。幸いにも、この問 題には回避策があって、恐ろしげに聞こえるかもしれないが実際はこれがかな り実用的だ。それは、カメラに2つか4つのピクセルを1つに結合させること で、1回の撮影ごとに処理しなければならないデータの量を半分ないし4分の 1にするのだ。この方法によって解像度は減るが、連続的に多数のフレームを 撮影しなければならないような場合には、光源や対象物に充分なコントロール を施している余裕は元々あまり無い。そういう状況では、写真の全般的な品質 は最高度のものとは言えないのが普通なので、多少解像度が減ってもそれほど 気にならない。SD-10 では、中程度の解像度にしておいても充分、大判雑誌の 全面に載せる写真に必要なだけの情報が記録される。この話題については、前 回の記事“デジタル写真の道理とセンサー”も参考にして頂きたい。 (日本語) "デジタル写真の道理とセンサー" 埃は、画像センサーの大敵だ。レンズが交換可能なカメラではほとんど常に、 レンズを取り外す度に埃がカメラの内部に入り込むことを覚悟しなければなら ない。入り込んだ埃がセンサーの上に落ち着けば、引き伸ばした写真に数え切 れないほどの斑点が写ってしまうということになる。埃がカメラ内部に入り込 むのを予防することで、撮影後の画像処理の手間が大幅に短縮できる結果にな るものだ。SD-10 では、レンズ後方の開口部を透明のプラスチックシートがカ バーしている。いくらかの埃がセンサーにたどり着くのを完全に免れることは 不可能だが、このカバーのお陰で埃の量は普通よりもずっと少なくなる。 スタジオでの撮影では、カメラを直接ラップトップコンピュータに繋いで、撮 影した写真を即座に適切なサイズで見ることができれば便利だ。SD-10 は、USB または FireWire で接続できる。FireWire で接続した時には、数秒で Sigma の PhotoPro アプリケーションに写真が現われる。下にリンクしたポスターの 光源として、私は4個のストロボと3個のハロゲンランプを使った。これらの 光源のバランスをとってベストな露出を探るには、メーターで測定するよりも コンピュータ画面に現われた画像を見る方が時間もかからないし簡単だった。 デジタルカメラを使うには、メモリーカードという隠れたコストがかかる。カ メラの購入時には、メモリーカードの価格も早めに考慮に入れておくべきだ。 この点、SD-10 は競合機種に比べて大きな利点を持っている。Foveon センサー からの生画像を保存するには、同等の Bayer によるものに比べてほぼ半分の 保存容量しか必要ではないのだ。(センサーの比較については私の前回の記事 “デジタル写真の道理とセンサー”を参照。)また、写真をメモリに書き込む にはしばらく時間がかかること、カードによって書き込み速度が異なることも 忘れてはならない。Lexar からはいくつか高速のカードが出ていて、これらは write-acceleration と呼ばれる独自仕様のテクノロジーを使っている。SD-10 は、Lexar の write-acceleration テクノロジーもサポートしている。 もう一つ、デジタルカメラにかかる隠れたコストがある。予備のバッテリだ。 ことに、バッテリが独自仕様の場合には注意が必要だ。私は、電源というもの とは遥かにかけ離れた世界であるヒマラヤに旅行しようとしていたので、使い 捨てのバッテリを持って行かなければならなかった。SD-10 は AA(単三)ま たは CR-V3 のバッテリを使うのだが、実はリチウム電池でなければ使えなかっ た。マニュアルにはそうは書いてないのだが、リチウム電池以外では駄目だっ た。それに、私の経験では、SD-10 の電池寿命は意外なほど短く、特に気温が 低いところでは非常に短かった。 バッテリの寿命が来るよりもずっと前から、一旦バッテリが死んだように見え て、バッテリトレイを外してから差し直せばまた生き返って数枚は写真が撮れ るということがよくあった。それに、この現象はたいてい数回は繰り返すこと ができた。見たところ、このカメラの内部抵抗および電圧低下に対する許容度 は非現実的なほどに厳しいもののようだ。あと2個の電池を並列に繋ぎ足すの が妥当な方策のようで、別売アクセサリのバッテリーパック/グリップ ($130) を基部にネジ止めして使えばよい。インドから帰国後、私は即座にこのバッテ リーグリップを購入した。これを装着すると多少重量とサイズが増えるが、そ の代償として、カメラがずっと使いやすくなる。その一方で、カメラを三脚に 取り付けた時にぐらぐらするようになってしまった。このバッテリーパックに 普通のアルカリ乾電池を入れても使えたが、寿命はほんの短時間だった。(デ ジタルカメラでのバッテリの問題点については、下記リンクにあるバッテリリ サイクルについての議論の 9 ページを参照。) スナップ写真には、内蔵のフラッシュが便利だ。戸外では、内蔵のフラッシュ でシャドウを起こすのがちょうど良いことが多い。この目的のために、私は内 蔵フラッシュが欲しいと思ったのだが、残念ながら SD-10 には内蔵フラッシュ は付いていないので、Sigma から SD-10 専用に出ているオンカメラのユニッ トを購入することにした。このフラッシュは(35mm カメラ用のスケールで) ズームし、全方向に弾み、自動的に露出を調整してくれる。この種のユニット の常として、これもトップヘビーな感じで手品仕掛けのように見え、動作も不 正確に思えた。室内では、カメラから取り外して腕を伸ばして持ち、壁に向け て狙えるような手持ちのフラッシュの方が私は好きだ。幸いなことに、私はま だこのフラッシュユニットを使わなければならないような機会に出会っていな い。私がこれを買った主な動機は戸外で光を埋め足すためだが、このカメラは 充分にダイナミックレンジが広く、Sigma のソフトウェアの“Fill Light”調 整機能もあるので、まだフラッシュユニットに頼らなければならない必要を感 じたことがないのだ。 本体の造りの品質がしっかりしているかどうかということを調べるのは、私の リストでは優先順位が低い。なぜなら、ヒンジとかラッチとかいう明白なもの を別にすれば、デジタルカメラがどのようにして壊れるものなのか、私には想 像がつかないからだ。私の経験では、電子機器が構造的に壊れるとしてもそれ が目に見えたり予想できたりするのはごく稀なことだ。たいていの場合、問題 が起こるのははんだ付け部分や箔線回路、あるいはスイッチの接触などだろう。 カメラの外面はほとんどがプラスチック製だ。でも、この製品を運んで来てく れた飛行機だってたくさんのプラスチックを使って出来ているのだから。それ に、SD-10 の内部は金属製だ。何よりも私に安心感を与えてくれているのは Kodak 製のカメラだ。SD-10 は、その機械的部品の、大多数とは言わずともか なりの部分を、最新型の Kodak 製カメラと共有している。もしも Kodak のカ メラがオンボロのボロボロだったとしたら、信頼性を何よりも重視する市場に 向けた製品としてはとんでもなく高価なオンボロボロボロになるだろう。だか ら、きっと Kodak の技術者たちには、Sigma の人たちがカメラの作り方を知 らぬ人たちではないという自信があったに違いないだろう。 **レンズ** -- ほとんどのカメラ狂は、よいレンズが必要だといって、徹底的 に、お金をかけて磨き上げ、そしてそれが一番だと思っている。ここで私は、 もっとも気にかけたくない問題に突き当たる。「デジタル写真の道理とセン サー」で説明したように、レンズのあいだの違いを知るには、三脚を使って同 一のテスト用写真を撮るしかない。レンズによる色ズレやひずみが異常に大き くない限り、写真を見て「おいおい、できの悪いレンズを使ったね」という人 はいない。 とはいうものの、レンズの中には、看過できないほどの色ズレを引き起こすも のがある。デジタルカメラに使う場合は特にそうだ。どうしてデジタルカメラ で色ズレが起こりやすいのかは分からない。私はたくさんの仮説を読んだこと があるが、どれもこの問題を完全に説明できていないし、それでもやはりデジ タルカメラではより多くの色ズレが起こるというのは事実なのだ。先ほどリン クした写真の、チェロのエンドピンの拡大挿入写真を見てほしい。(上の写真 がオリジナルの状態だ。TidBITS-748_ の「完璧主義者のための写真編集術」 で述べたように、Asiva Shift+Gain を使ってチェロに当たっている光を均一 化し、色ズレを取り除いた。)困ったことに、この問題は Foveon センサーを 使うと悪化する。線がシャープなので、それがずれると、すべての部分が同じ だけずれてしまうのだ。Bayer センサーはシャープさに若干欠ける代わりに、 色ズレに対して若干寛容だ。 (日本語) "完璧主義者のための写真編集術" フィルム式のカメラに高価なレンズをつけたときでも、異常な結果になること がある。私は、大枚をはたいた Leica M4s のために買った Leitz 90mm レン ズの1つに、悪態をついていたことがある。Leitz が、問題があることを認め て、交換したほどだった。代わりのものは、ピントは正確に合うようになった が、光学的には全然よくなっていなかった。このレンズを使って、コントラス トを保ちながら、人工物のフレア(光学的ノイズ)を防ぐには、私が持ってい るどのレンズと比べても、より注意深く撮影しなければならなかった。 広告にはよく、変調伝達関数(MTF)のグラフが載っている。これはレンズの 光学的品質を手短に表すということになっている。しかし、このようなグラフ は単純化された数学的モデルに基づいている。もしもこれで画像の品質を想像 できるとしても(私には決してできないが)、これでチェロのエンドピンに現 れた青のような予期せぬ欠陥を想像することはできない。こういうことはグラ フではとらえきれないからだ。レンズの構成要素についてのきれいな図版も、 非対称な要素の数も、風変わりなガラスでできた要素の数も、何の意味もな い。レンズの設計というのは、科学ではなく芸術である。もしレンズがたくさ んの構成要素からできていたら、それは芸術家がたくさんの絵の具を使ったと いうことでしかない。 レンズを実際に試すことなしにレンズを比較する方法など、私には思いつかな い。実際、私には「よりよい」というのがどういうことか分かったためしがな いのだ。2つのレンズがあるとして、太陽が背後にあるとき、片方のレンズで よりシャープな写真が撮れ、太陽が正面にあるときは、もう片方でよりシャー プな写真が撮れるとしよう。どちらがよりよいのだろうか。ほとんどの欠陥は ソフトウェアで直せるのだから、もっもと重要なことは、どれだけ完全かでは なく、どれだけ完全になりうるかということであると思う。両極端のレンズを 考えよう。1つは、ぼんやりしているが一貫していて、電子的にシャープにす ることができる。もう1つはシャープだが、ときに直すことのできない欠陥を 見せる。私なら前者の方がいいと思う。 高価なレンズ程よいだろうという先入観は、私も持っているが、「だろう」と いうのが重要な部分だ。製造のしやすさ、製造量、マーケティングの計画と いったことも価格を大きく左右する。私がフィルム式のカメラを買ったとき は、先入観のままに高価なレンズしか買わなかった。Laica のレンズの1件で 明らかなように、これはばかげたことだというのは分かっていたが、商用の フィルムを撮影するというのは精神的に疲れるので、何かがうまくいかないと いう危険性を最小化するためにあらゆる手を打ったと自分に思い込ませたかっ たのだ。デジタル写真の場合は事情が異なる。デジタル写真はすぐに見ること ができるし、その場で改善することができる。デジタルカメラでは、高価なブ ランドという心もとない保険を購入する理由が見当たらない。 レンズのことを考えるとき、もっとも重要なことは、レンズの品質ではなく、 レンズの光学的な視野である。小さな窓から1メートルほど離れたところに 立って、庭を見ているとしよう。自然に見えるのは庭の一部分だけだろう。こ こで、なんとかして庭全体を窓の視界に収まるように縮小することができたと しよう。こうすれば庭のすべてを見ることができるが、その庭の見え方はおか しくなるだろう。では、この窓が写真だとしたらどうだろうか。カメラのレン ズがその写真の視野を生成する。あなたが目で見るのと同じ角度で「見る」レ ンズでは、写実的な写真が撮れるが、あなたの目よりも広い範囲を「見る」レ ンズでは、ひずんだ写真が撮れるだろう。 人間の目は、動かさないときで、およそ 45 度の広さの情景をとらえることが できる。拡大した写真を見るときは、それが目に対して 45 度の角度になるよ うな位置で持つ傾向があるはずだ。それなので、引き伸ばされた写真を見ると き、45 度の角度で「見る」レンズを使ったときに、もっとも自然な視野が得 られる。より小さい、またはより大きい視角では、視野はひずんでしまう。文 句なく自然に見える範囲というのはあるが、明確に定義されているわけではな い。それでも、この範囲が、20〜30 度より狭くなることはないし、60〜70 度 より広くなることもない。視角がそれより狭くなったり広くなったりすると、 視野がひずみはじめる。このひずみをうまく使えば、芸術的効果を得ることも できるが、それもひずみであることには変わりがない。ひずみを使って派手な 演出ができることもあるが、それはたいていの場合見せかけだけだ。 おおまかにいって、35mm カメラの場合、自然な視野の範囲は、30mm か 35mm のレンズから 80mm か 90mm のレンズまででカバーされる。最近では、ほとん どのカメラに、この範囲をカバーするズームレンズがついている。この範囲よ り広い範囲をカバーするレンズも多い。レンズがズームできる範囲が大きけれ ば、カメラの売れ行きがよくなるので、生産者はピクセル数を押し上げるのと 同じようにズーム倍率も押し上げる。しかし、焦点距離が長くなると、画質は 急速に低下する。これは光学的な理由からではなく、焦点距離の長いレンズは 手ぶれの効果を拡大するからである。ほとんどのデジタル画像センサーは小さ いので、この問題はさらに増幅される。像の大きさが半分になったり4分の1 になったりすれば、同じだけ動いたときのぶれは2倍になったり4倍になった りする。誤って三脚を必要とするような焦点距離に設定してしまい、撮れた写 真がぶれているのを見てそれに気付くというのは嫌だから、私は 80mm か 90mm 相当の範囲を超える汎用レンズは使いたくない。 とはいえ、レンズ交換式のカメラを買うとすれば、私はできるたくさんの焦点 距離を持つレンズをそろえたいと思う。私は、SD-10 用に、焦点距離が通常の 範囲より長いレンズと短いレンズを購入した。この記事の最後で、SD-10 用の 7つのレンズについて、私が気がついたことを書くつもりだ。 **カメラとコンピュータ** -- ほとんどの人は、デジタルカメラは光学機器で あり、普通のカメラのフィルムを電気的な小道具で置き換えたものだと思って いるだろう。私が思うに、デジタルカメラはデジタルコンピュータであり、デ ジタルコンピュータの回転するディスクの代わりに光学的機器を取り付けたも のだと考えたほうが賢明だ。センサーが供給する情報は、センサーによって多 かったり少なかったりするが、「デジタル写真の道理とセンサー」で述べたよ うに、その違いは見かけよりは小さい。画像がどのように処理されるかという ことの方が、大きな違いを生む。つまり、画像がどのように補正され、バラン スがとられ、ノイズが消され、シャープ化されるかということだ。 生の画像を使える画像にするために、典型的な画像処理プログラムは以下のこ とをする。 * カラーチャンネルの重みづけを調整して、センサーの光源に対する応答を補 正する。 * 明度とコントラストの範囲を調整する。 * ノイズと思われる部分を取り除く。 * エッジ部分を歪ませてシャープに見えるようにする。 * 不必要だと思われる情報を捨てて、ファイルを JPEG フォーマットで保存す る。 カメラの中の画像処理プログラムは、すべての写真をあつかうときに、デフォ ルトで以上のことをすべて行う。いうまでもないことだが、プログラムは写真 を見て理解しながらこれらのことを行うことはできず、ただルールに従うこと しかできない。デジタルカメラのレビューは、ほとんどの場合、カメラが生成 する JPEG ファイルを吟味するから、実は、光学系やセンサーの品質を吟味し ているのではなく、内蔵の画像処理ソフトウェアが使っているアルゴリズムの 成果を吟味していることになる。 もしもあなたが、フィルム式全自動カメラのスナップ写真で満足できるなら、 デジタルカメラに組み込まれた画像処理で満足できる結果が得られるだろう。 しかし、そのような画像処理は、写真の情報を余すところなく引き出すことも なければ、最高の拡大写真を可能にすることもない。カメラの設定を変えるこ とはできるが、カメラにはパソコンほど便利で高機能なものはついていない。 私にとっては、TidBITS の読者の多くもそうだと思うが、ファイルを生の、処 理されていないフォーマットで保存するカメラを買って、すべての画像処理を 後でコンピュータで行うというほうが理にかなっている。 SD-10 がほかのカメラと比べてユニークな点は、このカメラはいっさいの画像 処理をしないということだ。私にとっては、これは重要なメリットである。ソ フトウェアが内蔵されていないので、カメラのメニューがきわめてシンプルに なるのだ。SD-10 では、複雑なコマンドツリーをいったり来たりして隠れたサ ブメニューを探す必要がない。液晶画面の輝度を変えたければ、どうすればよ いかはすぐに分かる。さらに、SD-10 では、画像処理のパラメータを誤って設 定して写真を失ってしまうということは絶対にない。 画像を処理するためには、Sigma から出ている PhotoPro というプログラムが ある。一見したところでは、PhotoPro にはがっかりさせられる。ルック・ア ンド・フィールは Windows から移植したようだし、Windows sRGB プロファイ ルが埋め込まれている(「色とコンピュータ」を参照)。バックグラウンドで アイドル状態にあるときにも CPU を独り占めするし、Mac 用のグラフィック パッケージとしては信じられないことに、モニタのキャリブレーションを 「知る」ことがないので、PhotoPro で表示される色は、Photoshop や iPhoto の色とも違うし、プリンタから出力される色とも違う。それでも、PhotoPro の操作はシンプルで使いやすく、私は Photoshop の RAW ファイルコンバータ よりもこちらの方がいいと思う。(先にリンクしたスクリーンショットで PhotoPro のインターフェースを見てほしい。)写真を1つ1つ調節したいな ら、PhotoPro は優れた道具になるし、ファイルがたくさん入ったフォルダを 自動的に JPEG 変換した上で保存したいなら、それも PhotoPro でできる。さ らに、RAW ファイルをハードドライブにコピーすれば、何かをやり直したいと 思ったときはいつでも元に戻れる。 **まとめ** -- すべてのことを考慮すると、私の目的を考えれば、SD-10 を購 入することは理にかなった判断だといえると思う。このカメラはアマチュア用 の価格帯にあるが、プロ用のカメラのように感じられるし、機能する。得られ る写真は、私が 2-1/4 インチ x 3-1/4 インチのフィルムで撮影したものと同 じように見える。これ以上望むことはない。 SD-10 は私の目的には合致するが、あなたの目的には合わないかもしれない。 私は写真を完璧にするために十分な時間をかけるのをいとわないが、あなたは そうでないかも知れない。もしあなたが時間をお金で買うほうを好むなら、フ ルフレームの Bayer センサーを使えば、より手軽に、同じだけの潜在的な品 質を得られるだろう。SD-10 の Foveon センサーと同じ大きさの Bayer セン サーは、全体的な品質としては少し劣るが、欠陥に対する許容力がある。35mm フィルムの品質で満足というのなら、もっとコンパクトで、小さいセンサーの ついたカメラで十分用が果たせるだろう。 あなたがどう決心しようとも、全自動カメラよりもよいものを買おうとするな ら、カメラと並んでコンピュータのことも考慮するべきだ。「デジタル写真の 道理とセンサー」で述べたように、写真に含まれる情報量というのは、人々が 考えるよりずっと少ない。目にとって大事なのは、情報の量よりも、情報がど のように表されているかということであって、ぶれや粒状感、画素化などと いった視覚的ノイズのなかで、情報がどれだけはっきりと見えているかという ことなのだ。カメラは光学的な情報に加えて、光学的、電子的なノイズも符号 化している。コンピュータはそのすべてを目に見える画像として復号し、ノイ ズを除去する。このコンピュータは、通常はカメラの中に埋め込まれている が、その代わりに Mac を使うこともできる。あなたのコンピュータを使え ば、カメラに内蔵されているものよりもよいソフトウェアを使うことができ る。私がこの連載を画像処理ソフトウェアの話から始めたのは(上にリンクし た「完璧主義者のための写真編集術」)、こういうわけだ。カメラを買う前 に、この記事に目を通し、どんなことが可能でどんなことをしたくなるかもし れないのかということについて認識してほしい。何を求めるべきか決めるとき には、このことを念頭において、購入時にはソフトウェアの値段も考慮するこ と。 最後に、カナダの読者のために、これらの製品をカナダで購入することについ て少々付け加えておきたい。2004 年の3月に、私は店頭で SD-10 を探した が、見つけられなかった。尋ね回っていると、セールスマンのうち2人が、 Sigma のカメラは買わない方がいいといってきた。それは製品のせいではなく て、Sigma のカナダにおける販売店 Gentec International のせいだという。 それがなぜかはすぐに分かった。Gentec は、私が買おうとしたりこのレ ビューのために借りようとしたりした製品の在庫を1つも持っていなく、すべ ては日本から送られてくるのを待つほかなかった。予想配送期間は、数週間の ときもあったが、たいていは数ヶ月で、しかも値段はアメリカで買うより高か った。アメリカでは、棚に並んでいる製品を買うことができるというのに。私 は製品を実際に目で見ることなく買うことになるわけだが、それにもかかわら ず、いかなる理由でも返品を受け付けてくれる店舗がないというのも尋常では ない。こんなことをいうのは残念だが、これらの製品のベンダーは、実質的に はアメリカの通信販売業者だけだ。速くて安いだけでなく、返品を受け付けて くれる可能性も高い。もし何かを返品する必要が生じ、税金の還付を受けるに は、B2G からダウンロードできる1ページの書類「Informal Adjustment Request」に記入すればよい。 **補遺:SD-10 用のレンズ** -- 私は、SD-10 で 7つのレンズを試みた。特に 注釈をつけた場合を除いて、全てのレンズはよく出来ている様に見えるが、し かし全てについて隅の方で色のにじみが見られる傾向がある。但しその程度は 引き伸ばしで目を凝らして探せば気がつく程度の大きさである。注釈がない限 り、私は無限遠で撮影したテスト画像のシャープさを私の判断の基礎とした。 最も安価な基本レンズは、Sigma がいくつかのキットに組み込んでいる 18- 50mm f/3.5-5.6 ズームである。(これは単独では値段が付けられていず、$10 または $100 が他のアイテムに付け加えられる。)50mm では、このレンズは かなりシャープであるが 24mm と18mm ではよりソフトになる傾向があるよう に見える。このレンズは、しばしば過度の色にじみを示し、50mm 以下では " 樽型" の凸状歪みの症状を示し、しかもそれは非対称なので完全にソフトウェ アで修正することができない。このレンズのつくりは安っぽく見え薄暗い明か りの元では焦点合わせが困難になる程遅い (暗い)、但し絞りを f-値で一つだ け絞り込むと最大のシャープさとなる。もし私がコンピュータの前で十分時間 をかければ、これの写真をどれにも負けない程に仕上げることは可能 - その 画像は完全にすることが可能 - であるが、カメラの品質と同等とは思えな い。 (日本語) "高性能、軽量、コンパクト。デジタル専用ズームレンズ 18-50mm F3.5-5.6 DC 株式会社シグマ" ここ数ヶ月で、Sigma は替りになるものも提供し始めた。それは 18-50mm f/ 2.8 ズーム (末端価格 $500) である。レビューするため一個借りたがそれを 買い取ることに決めた。色にじみは少なく、とりわけ 50mm では、歪みももっ と対称的であり、そして 24mm と 18mm ではもっとシャープである。焦点距離 にかかわらず f/5.6 から f/11 の間が最もシャープである。このレンズはカ メラとよく合っていると言える。 (日本語) "小型・軽量化を実現したデジタル専用大口径標準ズームレンズ 18-50mm F2.8 EX DC 株式会社シグマ" 望遠レンズで最も安いのは 55mm-200mm f/4-5.6 ズームである (末端価格 $140)。SD-10 上では、200mm は 35mm カメラでの 340mm に相当する。これは 8x の双眼鏡に相当する。かなり遠くまで届くので、遠くの物体のシャープな 写真を撮るためには三脚だけではなく熱気流のない澄んだ空気も必要である。 このレンズはあまりに安っぽく感じるので私は信用できなかったが、光学的に はしっかり出来ており、そして小さく軽量である。素人玄人を問わず、ちょっ とした用途に携帯する望遠としては誰にでも合っていると言える。シャープさ を最大にするには絞りを f-値で 2 か 3 程度絞り込む必要がある。 (日本語) "小型・軽量、デジタル専用望遠ズームレンズ 55-200mm F4-5.6 DC 株式 会社シグマ" 私の前回の記事のために、私は Sigma の最新の 50mm f/2.8 マクロ (末端価 格 $250) を借りた。丁度手元にあったので、これを 18-50mm f/2.8 と 50mm で比較してみた。無限遠ではマクロレンズの方がちょっとソフトでフレアに対 してより敏感であった。またマクロレンズは接写用に設計されたものなので、 接写台にものせて試験してみた。ここではマクロの方が少々であるがシャープ さがあった。どちらの距離でもズームの方が色にじみは少なかった。私はテク ニカルな仕事のためにしかマクロを買わないと思う。通常の画像写真用には、 極接写を含めて、私はズームの方が好みである。 (日本語) "優れた光学性能を受け継ぎ、デジタル用に最適化 MACRO 50mm F2.8 EX DG 株式会社シグマ" より広い広角レンズとして、私は 14mm f/2.8 (末端価格 $900) を買った。こ のレンズは大きくて重たい。このレンズは、35mm との組み合わせでは現実的 な光学的限界を無理に膨らせており、SD-10 とでは良くもあり悪くもあるとい う感じである。太陽が背後にあり、被写界にあまり白がなく、そして写真の中 の被写体全てから非常に遠く離れている場合は、f/8 から f/16 の間では結構 シャープだし色にじみも通常より多くなることもない。本当に遠い無限遠から 近くなるにつれて、隅が柔らかくなってくる。写真が多くのコントラストを含 む場合、フレア光は画像を更に柔らかくしそして色にじみも多くなり、時とし て異常とも言える量に達することもある。そして又、被写体の近くに太陽がい る場合、このレンズは極度の反射を生成しがちで、この場合修正は全く出来な い。樽型の歪もはっきり分かる程度見られるが、これは修正可能である。 (日本語) "大口径の超広角レンズ 14 mm F2.8 EX ASPHERICAL HSM  株式会社シグマ" 私はこの 14mm は好きでないので、この記事のために、唯一の代替選択肢であ る 12-24mm f/4.5-5.6 (末端価格 $670) を借りた。こちらの方が更に大きい し 35mm 用としては現実的光学特性を無理に引き伸ばしているが、正反対の性 格を備えている。14mm と較べると、正面から光が当たったあまり白のない遠 景はより柔らかく見え、他の場合は隅もよりシャープだし時としても中心部も そうである場合もある。同じ様な樽型歪を持つが、色にじみは殆どなくフレア 光からの邪魔な妨害はない。焦点合わせはもっと難しくかつ遅いが、より広角 だし焦点距離全てに渡ってズームする。私はこのレンズもとりわけ好きなわけ ではないが、14mm よりはマシだと思う。f/11 か f/16 まで絞り込むと、その 柔らかさは Focus Magic で補うことが出来るが、14mm の欠陥のいくつかは何 を持っても修正できない。18-50mm f/2.8 ズームと 18mm と 24mm で比較して みると、12-24mm の方が一般的により柔らかいが色にじみも歪も少なく、 シャープさでは f/16 でほぼ同等と言えるが、これはもう 18-50mm のピーク を外れている。建築とか庭園の写真用には、焦点深度を最大化するため私はし ばしば f/16 まで絞り込む。従ってこの様な用途には 12-24mm の方を選ぶと 思う。私は 14mm をこのレンズに換えるつもりだが、Sigma が SD-10 用に設 計されより良く働く 12mm か 14mm のレンズを出してくれることを願ってい る。 (日本語) "画角122°からの超広角ズームレンズ 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSM  株式会社シグマ" 15mm 魚眼 (末端価格 $450) は大きさもそこそこであるが、これも又 35mm フィルム用に設計されたものである。SD-10 に装着した場合、14mm よりもほ んのちょっと多くをカバーするが、特徴のある見え方を提供する。これは魚眼 像であり真っ直ぐな線は湾曲するが、画像のうち中心の部分のみが SD-10 の 小さなセンサーで捕らえられるので、この湾曲の程度はそれ程ひどくならな い。一方では、通常の広角レンズと違って、近接コーナーでは被写体を拡大し ないし、どの角度も歪ませない。これは何を意味するかと言うと、真っ直ぐな 線を含まない景色に対してはより自然な像を提供することになる。その違いは 小さいが、私の目にはその違いは意味のある程大きい。私は Himalaya への旅 にこのレンズと 14mm を持って行った。 14mm を使うことは殆どなかったが、 こちらはかなり頻繁に使った。f/5.6 から f/11 の間が一番シャープであり、 3本の広角レンズの中では一番シャープでもある。 (日本語) "オートフォーカス対角線魚眼レンズ 15mm F2.8 EX DIAGONAL FISHEYE   株式会社シグマ" 広角レンズのどれもが前面のフィルタは取り付けられない;取り付けられるの は後部のゼラチンフィルタだけであるが、これはあまり意味がない。全てのデ ジタルカメラでは、ソフトウェアが色バランスフィルタに取って代わったし、 そして SD-10 の場合はソフトウェアが偏光フィルタにもその主たる用途に対 して取って代わることを知ってちょっと驚いた。その主たる用途とは、太陽の グレアで洗い流される色の飽和度を上げることである。(私は他のデジタルカ メラに関する偏光子の事は知らない。と言うのも SD-10 ではなぜこれらが必 要でないかもわかっていないからである。) 私の経験で言うと SD-10 では、 偏光フィルタが必要となる唯一の用途は窓や水面からの模様のある反射を減ら すためであるが、実際の所これは実地においてよりも写真学の本での方が良く 見られる。 これらのレンズ全ては SD-10 の他にも多くのカメラに装着できるが、私には これらが他のカメラとどの様に働くのか全く見当もつかない。イメージセン サーの光学特性はレンズとそれこそ何通りにも相互に影響しあうものなので、 それをどうやって離婚させるのか私には分からない。 PayBITS: カメラを買うことについての Charles の話がお役に立てたならば、 どうぞあなたから「国境なき医師団」に寄付をお願いします: (国境なき医師団日本) PayBITS の説明: TidBITS Talk/15-Nov-04 のホットな話題 ------------------------------------- 文: TidBITS Staff 訳: Mark Nagata 各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバでの討論に繋が る。こちらの方がずっと高速のはずた。 **Consumer Reports が Mac に好意的** -- 最近の Consumer Reports がカバー ストーリーで Mac と PC を比較したことを受けて、読者たちが反応する。(メッ セージ数 13) **CPU アクセラレータの体験談** -- 先週号の Geoff Duncan が自分の古い Mac を新しい Power PC アクセラレータでアップグレードしたという記事を受けて、 マシンをアップグレードした経験のある読者たちの声が寄せられた。(メッセー ジ数 9) **カメラのフォトセンサーについてもっと学ぼう** -- デジタルカメラについて の Charles Maurer の記事から、フォトセンサーについてもっと知るにはどこ を調べればよいかという議論が巻き起こった。(メッセージ数 6) **iPod のバッテリを交換** -- 寿命の来た iPod バッテリを取り外してサード パーティのバッテリで置き換えたという体験談が、一人の読者から寄せられた。 (メッセージ数 2) **Macworld Expo が Hynes に移る** -- IDG World Expo から、次回の Boston での Macworld Expo が Hynes Convention Center を会場とするという発表が あった。ここは新しくなった Boston Convention & Exhibition Center より も狭い会場だ。(メッセージ数 2) $$ 非営利、非商用の出版物は、フルクレジットを明記すれば記事を転載できま す。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はあ りません。告示:書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登 録商標または権利です。 お知らせ:TidBITS(英語版)に関する情報(各種 ML 購読、バックナン バー、全文検索など)は、TidBITS ホームページにお越しくださいこの他にも多くの情報があります。TidBITS ISSN 1090-7017 原著者への感想や寄稿は 宛て英語でメー ルをご送付ください。 TidBITS(日本語版)に関する情報( ML 購読、バックナンバーなど)は、日 本語版ページ をご利用くだ さい。日本語版と日本語翻訳に関するお問い合わせ、コメント、激励は、この メールにご返信 ください。 ------------------------------------------------------------------- .